事務所の前の駅前ロータリーには、いつもタクシーが結構停まっている。
あまり人通りも少ないせいか、運転手どうし車を降りて立ち話をしている。
ずっといつくるか分からないお客さんを待ちながら…。
僕が学生時代、ホテルでバイトしていた時、観光のお客さんが、
「石川県を観光したいので、1日貸し切りのタクシーを用意してくれ」という
依頼がよくあった。そんな時は、依頼するタクシー運転手リストがあり、
そこから、バイトの身でも独断で誰にするか決めて手配する。
そのリストの中でも、大体依頼する運転手は決まっていた。
その運転手は、独自の観光マップをオリジナルで制作し、
観光で来たお客様を喜ばせるスポットをセレクトしている。
そして、そのプランをホテルや旅行会社に提案している。
同じタクシー運転手でも、
単なるお客様の言われた通りの場所に運ぶだけの仕事なのか、
それとも、その日一日をプロデュースする観光プロデューサーなのか。
普通のタクシー運転手は、ただお客さんを待っているというイメージがあるし、
実際、ほとんどの運転手はそうだ。つまり、waitな商売をしている。
「waitな商売をwaitじゃない商売に変えることを考える」とおもしろくなる。
ホテルで依頼していたタクシー運転手は、車の中でいつくるか分からないお客様を
待っているということはしない。
いつも、お客様を乗せる時間の2時間ほど前にホテルに着き、
ロビーでコーヒーをゆったり飲み、優雅な時間を過ごす。
同じ商売でも考え方と行動で、現実は変わってくる。
例えば、こんなタクシー会社があっても良いと思う。
タクシー会社自社のHPには、運転手の顔写真と人柄が分かるコメントをのせ、
その運転手が得意な観光コースをマップ化し、おすすめの飲食店や
スポットを紹介する。県外や海外から石川県に入るお客様は、
まず、そのサイトを見て、誰に案内してもらいたいか決める。
良ければ、自然と口コミで広がるネット環境はすでにある。
タクシー会社に限らず、飲食店でも、不動産屋でも、小売店でも一緒。
まずは、当たり前のことを疑ってかからなければいけない。