独立した時は、経験も実績も事務所規模も人も金も何一つなかった。
あるのは、”俺はいける”、”俺がいけなくて誰がいける”
という根拠のない自信だけ。
周りから見れば、何にもない僕を疑いの目で見たり、
しょぼい事業だと思われたり…、そんなことは人に会う度、
直接言葉で言われなくても、雰囲気や言葉のニュアンスで敏感に感じた。
自分に引け目があったのかもしれないけど、やはりそれはあった。
逆に、何もない僕の可能性を信じて応援してくれたり、
仕事を任してくれる方々もいた。
その一つ一つが勝負で、ひとつでも大したことないと思われればそれで終了。
先はない。
”自分は人とは違う”と言い聞かせなければ、やっていけない心理状況にあった。
”人と同じだ”という尺度で考えていれば、おかしくなる。
それが月日が経過してくると、自分では何ら今も当時も変わらないと思っていても、
自然と変わっていたりする。
知らないうちに一つの行動に周りを気にしてみたり、
今ここでアクションをおこさなければ次はないと思っていても、
顰蹙を買うのではないかと心配してみたり、
発想が無難になったりしているかもしれないとふと感じる。
「顰蹙は金を出してでも買え」という言葉は、見城徹さんのエッセイ帯コピー。
普通にしていれば、顰蹙を買うことはない。
けれど、同時に次のステージも未来もない。
ということを心に留めておきたい。