その時は単なる一コマとしてなんの繋がりもわからなかったものが、あるときそれが点と点で繋がり、紐付き張ってくる。
先日、神奈川県民ホールギャラリーで開催された「5Rooms ― 感覚を開く5つの個展」に足を運んだ。
—
私たちは日々、頭で多くの物事を判断し行動しているが、「頭」はあらゆる事をコントロールしたがる性質があり、ともすれば自分の「心」で感じたことにさえ干渉しようとする。今展では「頭」でつくられたテーマではなく、「心に響くか」という直観によって選ばれた作家達の作品群が見られる。磁器、漆、写真、シルクスクリーン、インスタレーションと、用いる素材も技法もそれぞれ異なるが、真摯に制作に取り組み、私たちが生きている「今」に向かってメッセージを投げかけている。
—
「在る」ことへのアプローチ
として、染谷 聡氏、齋藤陽道氏による筆談トークが行われ、非常に興味深かった。
齋藤陽道さんは、生まれたときからほとんど耳が聴こえないということもあり、紙に会話内容をマジックで書いていき、それをスクリーンに写して、トークするというもの。
クラムボンやミスチルなどアーティストからも撮影依頼を受ける気鋭の写真家で、個人的にも、その作品や考え方、また被写体への捉え方にとても共感するし、写真自体もすごく自分の好きなトーン。
また、小野 耕石氏 ≪Hundred Layers of Colors≫2016 も 感覚を開かされる作品で印象的だった。
数日して今日、クライアントの工場に足を運んだ。クリエイティブでの表現を求められている仕事のヒントを求めて。最近(というか別に今に限ったことではないが)、プランや方向性、切り口が見えない時は、だいたいモヤモヤしたものがずっとまとわりついているような感覚になる。それは、職業病のようなもので、以前は暗いトンネルを一筋の光を求めて暗中模索していると感じていたけど、体に纏わりつくと表現したほうがしっくりくる。
いくら考えても、話し合っても、出口や答えが分からない時は、現場・現地に行くことに限る。
それが、時として無駄だと感じることがあったとしても。
でもいざ”ポイントに”行けば、予想に反して直感的に心が躍る。
本当にクライアントが求めていること、また”その先に繋がるもの”は何なのかをゼロベースにしてフラットに捉えると、以外にも近い場所から、”これまでの引き出し”と結びつけてくれることがある。
切り口や方向性が見えると、あとはプランを詰めて行動するだけなので心地よくワクワクする。「感覚を開く5つの個展」で見て感じたそれと、今抱えている仕事のそれが、紐付き、糸が張ってきた。あとはその糸の上にボールを乗せて弾ませていきたい。